カラスの親指_伊藤匡史
カラスの親指 - 映画情報
  • 公開:2012/11/23
  • 監督:伊藤匡史
  • 出演者:阿部寛, 村上ショージ, 石原さとみ
  • 製作国:日本
  • 上映時間:2時間40分
MOVIE REVIEWS

カラスの親指という映画をご存じでしょうか?直木賞作家の道尾秀介が初めて直木賞候補になった推理小説を原作とした2012年の作品なのですが、主演は阿部寛です。

この年の阿部寛はノリにのっていて、『テルマエ・ロマエ』などの演技と併せてブルーリボン賞の主演男優賞を獲得しているんですよ。

んでね、それに比較してしまうのか、キャストの村上ジョージの演技がやばく見えて、途中で観るのを辞めようかと思えたぐらいひどかったんですね。

ところがどっこい。

最後まで映画『カラスの親指』を観続けてみると…。

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映画『カラスの親指』 – ストーリー

カラスの親指
4.2

公開日:2012年11月23日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:伊藤匡史
出演:阿部寛, 村上ショージ, 石原さとみ

詐欺を生業にしている2人が、とある娘2人と男1人に出会い、共通の敵であるやくざをやっつける話。…かと思いきや。

ネタバレ注意『カラスの親指』のあらすじまとめ

元は真面目に働いていたタケさんは、ヤクザに騙され借金を負ってしまった。その後ヒグチというヤクザの仕事を手伝い、とある主婦の借金の取立ての追い込みをやっていたが、その主婦が子供を残して自殺してしまった。

その事件の後、良心の呵責からヤクザの経理資料を盗み出し、警察にタレコミをすることでヒグチを含め多くのヤクザが逮捕されたが、その仕返しとしてタケさんの自宅が燃やされ、タケさんは自分の娘を失った。

それからタケさんは、自殺する勇気も出ず、やくざの復讐を恐れ、隠れながら生活をした。しかし、隠れながらの生活では、まともな職に就くことが出来ず、詐欺師としてやっていくことになる。

ベテランの域まで達したタケさんはある時、鉄橋で下を覗いているテツさんというおやじに出会った。自分も同じように鉄橋で下を覗き自殺を考えたことがあるタケさんは、テツさんを救い、彼に仕事を教えながらコンビとして仕事をこなすようになった。

そんな二人が競馬場で仕事を終え、ラーメンを食べて家に戻ると、タケさんの家が火事になっていた。タケさんはヤクザに家が見つかってしまったのだと焦り、その場を逃げ出し、二人は公園で夜を過ごした。

次の日、テツさんの提案で荒川の近く、綾瀬で新しい家を探し、新生活を開始した。引越しで生活費がかつかつになった二人は早速、上野で仕事行う。

見事質屋で15万円を手に入れた二人はその帰り道、スリに失敗して追われていたまひろという少女を助ける。まひろに話を聞くと二人が住んでいる家の近くで暮らしており、家賃の滞納が重なりもうそろそろ追い出されてしまうらしい。その話を聞いたタケさんはまひろに一万円を渡し、困ったら家に来いと言って別れた。

ある朝、目が覚めるとまひろが家に上がりこんでいた。その他女性1人、男性1人を引き連れて。まひろとまひろの姉のやひろ、そしてその彼氏の貫太郎。三人は無神経にも勝手に家に上がり、勝手に麦茶を飲み、勝手に柿の種を食べていた。

三人を追い出そうとするテツさんだったが、貧乏人同士助け合わないとなとタケさんは三人を家に泊めてあげることにした。狭い家ながら5人で楽しい共同生活が始まる。

楽しく会話している中、3人が生活していた前のアパートでストーカー被害にあっていたことを知るタケさん。ここに来るまでにつけられなかっただろうなと念を入れていると、何かに気がつき外に出て行くテツさん。

白くて小さな生き物が家の中を走り回る。よく見るとそれは子猫だった。真っ白な毛で頭の部分がとさかのように立っているその子猫はとたんに三人の心をわしづかみにし、まひろが飼おうと言い出す。食費がかかるからダメだというテツさんだったが、ダメ?とタケさんにお願いするとエサ代なんて安いもんだろとオッケーを出す。

トサカと名づけられたその猫と5人。楽しく生活してる中でテツさんが3人の荷物から大金が入ったバッグを発見する。その中にはたくさんの封筒と父親の書置きと思われる手紙が入っていた。

そしてタケさんは過去の話をテツさんに語り始める。昔、主婦を追い込み自殺させてしまった事件の話をしただろ?その時の娘がまひろとやひろなんだと。それから二人が一緒に暮らし始めたのは知っていたから、せめてもの罪滅ぼしというかそれから毎月少しずつお金を送っていたんだ。結局そのお金にはぜんぜん手をつけてなかったんだな。考えてみれば当たり前か。親の仇のお金なんだからな。まひろの名前を聞いたとき最初はビックリしたが、せめてもの罪滅ぼしにここに置いてあげたいんだ。テツさんにはつき合わせちゃって悪いけど。

タケさんの告白にテツさんは優しく受け止める。家族みたいですよねと。

そんな家族みたいに幸せな時間も突然幕を閉じる。家の周りを怪しげな車が止まっているかと思うと、家の外で火事起き、必死で消火したものの、その後スーパーの袋に入ったトサカの死骸が届けられる。

ヒグチが出所し、タケさんに仕返しをしているのかもしれない…。事情を他の4人に話し、逃げようと提案するタケさん。しかし、もう逃げるのは嫌だとまひろとやひろは言う。

そして、貫太郎が大事にしていた箱を開け、拳銃を取り出す。ためし撃ちをしてみましょうか。そういって拳銃をテツさんに向ける。追い詰められた顔で引き金を引く貫太郎。しかし、出てきたのは単なる豆つぶの玉。拳銃は偽者だった。

そして貫太郎は言う。偽者で一本とるのはお二人の得意技じゃないですか、と。暴力で戦ったら分が悪いですよ。相手はプロなんですから。でも騙すんだったらみなさんの方がプロでしょ?

こうして5人はヒグチから金を盗み出すアルバトロス作戦という計画を立てる…。

しかし…。

『カラスの親指』のおすすめポイント

この映画は160分、つまり2時間40分にもわたるながーーーーーい映画です。その長い映画の中で2人の詐欺師が3人の若者と出会い、家族のような絆を深め、自分達を不幸のどん底に陥れたヤクザに復讐をするという物語なわけですが、実はそれはほんの建前の話。

実際に見てもらったほうが楽しめると思うので、ネタバレは避けますが、まさに詐欺師の映画。見ているこっちが騙される演出になっています。

それがこの映画のスパイスになっているわけですが、それを知らずに見ていた僕はとにかく村上ショージの演技が棒読みでひどすぎて絶対これキャスティングミスだろ、なんだよこれっていう感じだったんです。

2時間15分。そこでこの映画の復讐劇は幕を閉じたかと思ったら、まさかそこから大どんでん返し。まさに昔、このサイトでも感想を書いた詐欺師映画の『スティング』のような展開。

え!ええええ!!!っていうね。3時間近い映画でしたが、すべてを理解した後でもう一度見ちゃいました。

そうすると村上ショージの棒読みのところも、あれ?これもしかして演技なのかも?と思えなくもなかったです。

それと、能年玲奈がかわいいです。それはまぁ、当然な感じではあったんですが、もっと驚いたのはその姉役の石原さとみ。え?こんな役もやるんだ!新しい!っていう感じの他の作品では見られないような石原さとみでした。

後はまぁ、阿部寛のつるッパゲ姿もちょっとビックリした。もちろんカツラなんでしょうけど、かなりドッキリな演出。

つまり、この映画は演出や阿部寛の頭がピカリと光る映画なのです。

映画『カラスの親指』 – まとめ

えー、以上感想を述べていきましたが、『スティング』や『アフタースクール』のような見ているこっちが騙される系の映画が好きなあなたにはおすすめの映画です。

よかったら観てみてくださいませ。

…あ、でもやっぱりAmazonのレビューを見ると村上ショージの演技はひどいと感じる人が多いのかも。

ではでは、『カラスの親指』でした。

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カラスの親指 - 感想・評価

カラスの親指
4.2

公開日:2012年11月23日
ジャンル:ヒューマンドラマ映画
監督:伊藤匡史
出演:阿部寛, 村上ショージ, 石原さとみ

カラスの親指
  • ストーリー - 85%
    85%
  • キャラクター - 75%
    75%
  • 演出 - 90%
    90%
  • 映像 - 70%
    70%
  • 音楽 - 70%
    70%
78%

映画レビューまとめ

見ているこっちが騙される。長い映画ですが、何度も観たくなってしまう映画です。

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カラスの親指_伊藤匡史
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