『マイ・ドッグ・スキップ』のこれじゃない感がハンパない…

マイ・ドッグ・スキップという映画をご存じでしょうか?アメリカの作家、ウィリー・モリスの自伝小説を映画化した作品で、動物好きな人の中じゃ結構有名な映画なのです。

作者が少年時代に体験した愛犬スキップとの交流が描かれているらしいので、さぞかしペットとの微笑ましい関係性が見られるのだと思っていました。

…が、しかし。

思っていたのとなんか違う。思っていたのと何かが違うのです。

犬への愛というよりも、犬とただ一緒にいる時間を過ごした少年の物語という気がしてなりませんでした。

まぁ、冒頭から長々と語ってもあれなので、映画『マイ・ドッグ・スキップ』のレビューをしていくことにしましょう。

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映画『マイ・ドッグ・スキップ』 – ストーリー

マイ・ドッグ・スキップ
4.3

公開日:2000年03月03日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, ファミリー映画
監督:ジェイ・ラッセル
出演:フランキー・ムニッズ, ケヴィン・ベーコン, ダイアン・レイン

友達がいなかった少年が、りこうな犬を飼い成長していく物語…

ネタバレ注意『マイ・ドッグ・スキップ』のあらすじまとめ

1942年。時代は第二次世界大戦の真っ只中だった。

1万人の住民がのんびりと住むミシシッピ州のヤズーに住むウィリーはちびで泣き虫だった為か、同年代の子供達からいじめられ友達がいなかった。

唯一の友達は隣の家に住むディンク。ディンクはヤズーが生んだ最強の野球選手。みんなの憧れの的だった。そんなディンクも戦争に借り出されウィリーには友達がいなくなった。

ウィリーの父は退役軍人でスペインの内乱で足を失っていた。父は足を失ってから心の何かを失ったように厳しく高圧的にウィリーに接した。

そんなウィリーが誕生日を迎えたが、家でパーティーをするにしても招待する友達もいない。親戚を呼んでパーティーが開かれ、おばあちゃん達からプレゼントをもらったが、その中で母が一匹の犬をプレゼントした。

母は父に内緒でプレゼントをした為、父はその犬を見て怒ってしまった。ウィリーにはまだ早い。犬は病気になるし、死ぬ。ウィリーは繊細でそんな別れに対する心の準備が出来ていない。俺は戦争で死のつらさや悲しい思いを体験してきた。大人ですら辛いんだ。子供にはまだ無理だ。と犬を取り上げてしまった。

ウィリーのがっかりした姿を見た母親は父を説得し、犬を取り返し、ウィリーに与えた。

子沢山の時代に、ウィリーは一人っ子だったが、その犬、スキップも一人っ子。一人っ子同士で二人は親友になった。強い絆で結ばれた親友。

スキップは利口で見る見るうちに成長した。何をするにもウィリーと一緒。

ある日、ウィリーがスキップを連れて町の配給所に行きウィンナーを受け取っているとその場所に同じ学校のマドンナ的存在である女の子リバーズが母親と一緒にやってきた。スキップが愛想を振りまいている姿をきっかけにウィリーはリバーズと話すことが出来た。

ウィリーは戦争に行ったディンクに何度も手紙を送っていたが、そのディンクから敵兵のヘルメットと弾帯とともに返事をくれた。その手紙を学校で読み上げ、みんなから羨ましがられたウィリー。そんなウィリーのことをいけ好かない意気地なしだと思っているいじめっ子三人組みはウィリーから手紙を奪い取り破り捨ててしまった。

悔しかったら俺らとフットボールをやれ。ウィリーはその三人と一緒にフットボールをやったが、何度も何度も倒され、ボールを持って走ることも出来ない。本当にお前は走ることも出来ない役立たずだ。そんなことを言われながらも勇気が出ないウィリー。

どうやら、いじめっ子三人組はウィリーのうじうじしている性格が気に入らないだけで、本当は一緒に遊びたいみたいだ。

その姿を見ていたスキップはボールの元へ走り出し、そのボールをウィリーの元に持ってきた。ウィリーはスキップと一緒に咥えていたボールを抱きかかえ、一生懸命走り出してタッチダウン。

今のはいい走りだったぜ。いじめっ子三人組はウィリーを見直していた。

ある夜。ウィリーがスキップと一緒に寝ていると、窓に石が当たる音が聞こえた。いじめっ子三人が家に来ていた。親にばれないように家を抜け出して来い。その命令に従い、スキップと一緒に家を抜け出して連れて行かれた場所はお墓。

俺らの仲間に入りたいか?それじゃぁ俺らのテストにパスしろ。どうやらそのお墓には人を何人も殺したとされる魔女が眠っているらしい。そのお墓に朝までいられたらお前を認めてやる。ウィリーとスキップを残して三人は帰ってしまった。

不気味な雰囲気を漂わせている魔女の墓。ビビりながらその墓を見ているとなにやら声がする。もしや本当に魔女が…。ウィリーはスキップを連れその声のする方へ歩み寄る。

そこには酒を密売している男二人がいた。その男達を見るとスキップがその男達のほうに走り出してしまった。焦るウィリー。スキップを追い男達のほうへ走る。スキップを呼び、その場から逃げ出したがその男達に捕まってしまう。

ウィリーとスキップは、男達から酒の場所は人に言うんじゃない、言ったらその犬っコロを殺すと脅された。日が昇る前にちょっとでも動いてみろ。その犬っコロとおさらばすることになるぜ。

その言葉にビビり、一歩も動けなかったウィリー。朝にいじめっ子三人組が来て、ウィリーが酒ビンの転がる魔女の墓で眠っているのを見るとそのキモのデカさに感服し、ウィリーを仲間に入れてくれるようになった。

みんなと友達になれたウィリー。リバーズとの関係も好調。

ウィリーは映画館で戦場で活躍する兵士犬というニュースを見た。それに影響されたウィリーと三人組とリバーズはスキップを訓練し、ヒトラーに噛み付くように練習した。

そしてウィリーはスキップをつれて軍隊に兵士犬として使ってもらえるように志願したが、スキップはその時全く言うことを聞かなかった。結果、不合格。

がっかりしているウィリーの元へディンクが戦場から帰ってきた。ベロンベロンに酔っ払って。勲章は持たず、戦場から逃げて帰ってきたといううわさが町中に広がる。それを聞いてウィリーはさらに不機嫌になっていた。

父と一緒に森の中へブルーベリーを取りに行ったとき、ウィリーは父になぜ足を失ったのかを聞いた。足を失うと痛いのかと。痛いと答える父に対して、でも勲章もらえたでしょ?と返すウィリー。勲章よりも足の方が良かったと微笑む父。

そんなとき、銃声が聞こえた。猟銃の音。父親は猟師に声をかけ自分達がいる場所を知らせる。ウィリーは戦争ってこんな感じ?と興味津々に聞いていたが、撃たれた鹿が目の前を通ると顔色を変えた。撃たれた傷跡から出る血にさわり、まだ生きているから獣医を呼ぼうというウィリー。

父親はイヤと小さく答えながらウィリーを鹿から離すと、鹿は最後のとどめをさされた。その銃の音でウィリーは死という概念を知る。

それから季節が変わり、ウィリーは野球チームに入った。その開幕戦に向かう途中、ディンクを見かけたウィリーは良かったら試合を見に来てよとお願いする。ディンクが行くよと約束するとウィリーは飛び跳ねるほど喜んだ。背番号は「8」。ディンクがつけていた番号だ。今でもディンクはウィリーにとってヒーローなのだ。

しかし、試合にディンクは来なかった。チームメイトには8番をつけていることを馬鹿にされ、バッターボックスでは三振。守備でもエラーばかり。ウィリーがプレイするたびに観客は嘲笑する。

落ち込むウィリー。その姿を見たスキップはグラウンドに入り込み、元気いっぱい走り回る。選手達はスキップを捕まえようと走り回り、もう試合はしっちゃかめっちゃか。それを見た観客達は笑い、ウィリーの失敗なんて忘れたかのように思えた。

そして一仕事終えたようにスキップはウィリーの元に駆け寄る。それでもイライラしていたウィリーは帰れとスキップを怒鳴る。それでも言うことをきかないスキップをウィリーはこぶしを振り上げ、思いっきり殴ってしまう。

驚いたスキップはその場から逃げ出し、その光景を見ていた観客達はウィリーに落胆した。試合を終え、家に戻りスキップを呼ぶウィリー。しかし、スキップはどこにもいない。

ウィリーはリバーズや三人組に一緒にスキップを探して欲しいとお願いした。みんなウィリーの行動に落胆してはいたがスキップのためだと一緒に探してくれた。町中のみんながスキップを探したが見つからなかった。

家の前で泣くウィリー。その姿を見かけたディンクは試合で負けたのが悔しいのか?と尋ねるが、うるさいよウソツキ、試合に来なかったじゃないと怒鳴る。

ウィリーもみんなと同じか。昨日のヒーローが今日は軽蔑の対象。試合に行かなかったのは・・・そう言い訳をしようとしているディンクにウィリーは、試合に来なかったから泣いているんじゃない。スキップを殴っちゃったんだ。そしたら逃げ出したんだ。ディンクみたいにね。でもスキップは腰抜けなんかじゃない。

みんなが俺を腰抜けだって呼んでいるのは知っている。そのとおりだ。怖くなって逃げ出した。死ぬのが怖かったと思うか?死んだほうがずっと楽だった。怖かったのは死ぬことじゃない。

殺すことだ。

そう告げた後、ディンクはスキップは必ず戻ってくる。まだ探していないところがあるはずだとアドバイスする。何かを思い出したウィリー。

ウィリーは墓場にスキップを探しに来ていた。その考えは正しく、酒の密売をしている蔵に閉じ込められていたのだ。ちょうど酒を取りに来た密売人たちはスキップに荒らされた蔵を見て唖然とした。そしてスコップを振り上げ、スキップに振り下ろした。

スキップはか弱い声を上げ、その場に動かなくなってしまった。泣き叫ぶウィリー。

ウィリーの後を追ってきたディンクは密売人たちを追い払い、急いでスキップを獣医の元へ運んだ。

獣医は手を尽くした。あとは神の御心のまま。

弱々しく横たわるスキップにウィリーは懺悔と今までの感謝の言葉を述べる…。

…まだまだ続きますが、それは実際にご覧になってお楽しみくださいませ。

『マイ・ドッグ・スキップ』の名言

人間は時として狭い考え方をするものだ。他人を裁きたがる。相手にレッテルを貼りよく知ろうともしない。

息子は君にあこがれている。君がスポーツ万能だからじゃない。君があいつの友達だから英雄なんだよ。

『マイ・ドッグ・スキップ』のこれじゃない感。

とりあえず、王道的な動物モノです。僕は動物が大好きなので、動物さえ出ていればそれだけで泣いちゃうぐらいな感じだったし、この映画の評価がAmazonなどではすこぶる高かったのでかなり期待していました。

話の筋書き的にはスキップを通して独りで何も知らなかった少年が成長していくさまを物語る映画なんでしょうけど、なんだろなぁ。これじゃない感がハンパなくて、僕はぜんぜん泣けませんでした。というか、僕にはちょっと上手くいくようになったら調子に乗って失敗する少年の話にしか思えなかったのです。

友達がいなかったときに仲良くなった黒人の子供がいたんですが、白人のいじめっ子三人と仲良くなったとたんにその黒人の子供は足蹴にされてしまったし、スキップを戦争に借り出そうとするなんてもってのほか。

まぁ、戦争の意味を知らなかった子供を表現しているんでしょうけど、それはあまりにもひど過ぎる気がします。

スキップが僕にいろいろなことを教えてくれたっていう感じで話がまとまるんですけどね。なーんかこれじゃない感ハンパない。

しかし、見所がないわけじゃない。それはウィリーの父親。ウィリーは父親のことを足を失って心も失ったと表現しているけれど、実は本当に心の奥底から子供のことを心配していて、いつも見守ってくれている。町中からボロクソに言われるようになってしまったディンクに対しても理解を示し、助言を与え、ウィリーに必要なのは友達なんだと彼を励ましてくれる。

最後にウィリーが大人になり、町を去るシーンで、父親が涙をぬぐっているシーンはちょこっとうるっと来た。つまりは犬と少年の物語ではなく、父親の愛情の深さを知る映画だったのかもしれない。

映画『マイ・ドッグ・スキップ』 – まとめ

犬好きな人にはオススメの映画みたいな感じで紹介されていますが、僕としてはどちらかというと本当に犬が好きな人は見ないほうがいいかもしれない映画です。

主人公の犬に対する愛情が、おそらく犬好きの人が見ると腹立たしいもののように映ってしまうから。それよりも父と子の愛情物語が好きな人にこそオススメしたい映画だと思いました。

まぁ、あまり期待せずに見たほうがいいかもしれませんが。

はい。そんな感じで、『マイ・ドッグ・スキップ』でした。

…あ、いじめっ子三人組のジャイアン的な位置にいる子供が僕にはオードリーの春日に見えて仕方なかったです。

それと、やっぱりスキップはおりこうですごい演技の出来る犬でした。あ。それと主人公の声の吹き替えは林原めぐみがやっていますので好きな人はどうぞ。マドンナ的存在のリバーズの声はクレヨンしんちゃんの声の人。よく聴いても声の出し方が違うからわからんけども。

ではでは。


マイ・ドッグ・スキップ - 感想・評価

マイ・ドッグ・スキップ
4.3

公開日:2000年03月03日
ジャンル:コメディ映画, ヒューマンドラマ映画, ファミリー映画
監督:ジェイ・ラッセル
出演:フランキー・ムニッズ, ケヴィン・ベーコン, ダイアン・レイン

マイ・ドッグ・スキップ
  • ストーリー - 45%
    45%
  • キャラクター - 65%
    65%
  • 演出 - 55%
    55%
  • 映像 - 60%
    60%
  • 音楽 - 50%
    50%
55%

映画レビューまとめ

スキップはかわいいんだけど、主人公の犬への扱いがひど過ぎる気がする映画。父親の愛に目を向けるとある程観られる映画になると思います。マイ・ダディ・ジャックというタイトルが良かった…。

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